神保町の「内山書店」(千代田区神田神保町1)3階古書売り場で現在、中国の糸とじ本「線装本」フェアが行われている。
中国・アジアの専門書を販売する同店は1917(大正6)年に上海で開店。魯迅など多くの文人や日本の作家や演劇関係者が訪れる日中文化交流のサロンとして賑(にぎ)わったという歴史を持ち、神保町では1968(昭和43)年から営業している。
中国の書籍は昔、糸でとじられた「線装本」という装丁だったが、近代以降は現在のような「洋装本」が主流となり、1980年代になると古典籍の複製品として線装本が多く出版されたという。フェアでは、1980年代出版のものを中心に多数の線装本を取りそろえた。
ラインアップは中国古代の英雄・岳飛について書かれた最も古い宋刻孤本の影印「忠文王紀事實録」(7,000円)、父・劉文淇より春秋左氏伝の研究を引き継いだ劉毓●(●は山冠に松)の文集で、清代の考証学に多大な影響を与えた「通義堂文集」(2万1,000円)、元曲および北方散曲の曲譜を曲調に分けて編録した「北詞広正譜」(1万4,700円)、「八大山人詩鈔」(3,150円)、「北詞広正譜」(万47,250円)など。
「線装本の中には紙質や印刷の質が洋装本より優れているものや、 印刷部数限定の希少なもの、現在の中国では手に入らないものもあり、専門書店ならではの品ぞろえとなっている」と同店店長の内山さん。「この機会にぜひ、糸とじの魅力を味わってみませんか」とも。
営業時間は10時~19時(日曜は12時~18時)。8月19日まで。