辞書や教育関係書籍を中心に取り扱う出版社「三省堂」(千代田区三崎町2)が12月1日、「新明解国語辞典」を7年ぶりに改訂し発売した。それに合わせてユニークな語釈(語句の解釈、説明)を紹介する広告を展開している。
「この国語辞典は、ラブラブなのだ。」というキャッチとともに「恋愛」の語釈を紹介した中吊り広告
同社出版局の瀧本多加志さんは「同辞典の一番の特徴は独自性のある語釈。今回の改訂でもさらに磨きをかけた。語釈はわざとユーモアを入れようとしているわけではなく、言葉の意味の本質を伝えようと大まじめに取り組んでいる。わかりやすくしようと思うあまり、説明が長くなったり、勢いあまってしまうこともあるので、そこをおもしろがってもらえているのでは」と話す。
首都圏JR各線の中吊り広告では、「凡人」「実社会」「恋愛」の同辞典での語釈を紹介。例えば「凡人」の場合の語釈は「自らを高める努力を怠ったり功名心を持ち合わせなかったりして、他に対する影響力が皆無のまま一生を終える人」。このように、「ずばり容赦なく言い切ってしまう」のが同辞典のスタイル。作家の赤瀬川原平さんや夏石鈴子さんなど独自性のある語釈へのファンは多く、「新解さん」という愛称で親しまれている。
ほかにも、新聞広告では「公約」を取り上げ、「政府・政党など、公の立場にある者が選挙などの際に世間一般の人に対して、約束すること。また、その約束。〔実行に必要な裏付けを伴わないことも多い〕」と政治家を嘆き、「官僚的」では「官僚一般に見られる、事に臨んでの独善的な考え方や行動の傾向を持っている様子だ。〔具体的には、形式主義・事なかれ主義や責任のがれの態度などを指す〕」と官僚を批判する。
同日の朝日新聞朝刊には15段の全面広告を掲載し、人格を感じられるユニークな語釈20個を掲載している。
「広告でも語釈の独自性を全面に出した作りに。同辞典をぜひ手にとってもらえれば」と瀧本さんは話す。