首都圏から東北を応援し直接関わる機会をつくろうと、東京のシェア型複合施設「the C」(千代田区内神田1)で7月30日、「じもとキッチン~いわき~」が開催された。2011年から東北への支援活動を続けているキリン(中野区)が主催する。
当日は、いわきからのゲストのトーク、それを踏まえたうえで同市の郷土料理「さんまのポーポー焼き」をテーマにしたアイデアを出し合い、プランにまで昇華。その後、いわき産の食材を使ったランチを味わうという構成で行われた。福島県いわき市にゆかりのある人をはじめ、いわきに関心のある約30人が参加した。
さんまのポーポー焼きは、いわき市小名浜地区や四倉地区など、漁港地区の郷土料理。なめろうの要領でたたいたサンマにネギ、ショウガ、みそを加え、ハンバーグのようにして焼いたもの。名前の「ポーポー」は、漁船の上で焼いたときにさんまの脂が炭火に落ちてポーポーと炎が上がった様子が由来とされている。
ゲストトークでは、水産加工会社社長の上野臺優(うえのだい・ゆたか)さんから、さんまのポーポー焼きの由来やソウルフードとしての思い、ダイニングレストラン「Soupe」シェフの菅波隆幸さんは、いわきの伝統野菜や当日のメニューに使ったいわき食材を紹介、フリーライターの小松理虔さんからは「被災地だからこんなことを言っては悪いという思いが復興を邪魔する。むしろ不謹慎なくらいの意見がどんどん欲しい」と震災後6年以上経った今だからこその本音が伝えられた。
ワークショップでは、さんまのポーポー焼きの発祥といわれる「船の上でのポーポー焼き体験」や「『大人のポーポー焼き』として商品開発」「『ポーポーする』という言葉自体を文化として広める」など、さまざまなアイデアが生まれ、各アイデアに投票してトップを決める仕掛けもあり、盛り上がりを見せた。ワークショップの後は、菅波シェフによる、いわき産食材のランチプレートに舌鼓を打った。
参加者からは「いわきを身近に感じた。ポーポー焼きを食べに行きたい」「直接現地の人に話を聞くことで、福島産食材に対する誤解が解ける。このような機会は大事」などの声が聞かれ、いわきからの参加者からは「東京にこんなにいわきを応援してくれる人がいることは今後の自信になる」と喜びの声が聞かれた。
主催したキリンは、同社商品「氷結」に福島産の梨や桃を使うなど、これまでも積極的な東北支援を続けてきた。企画を担当した大木忠彦さんは「会社として現地へ足を運ぶだけでなく、首都圏から東北を応援する仕掛けをつくりたかった」と話す。初回の地域にいわきを選んだのは「福島県内でいわきが一番勢いを感じ、少しやんちゃなところも1回目にふさわしいと思った」。
同イベントは今後も対象地域を変えて続けていく予定。今後の予定などは、フェイスブックページで確認できる。