毎日新聞社(千代田区一ツ橋1)は6月20日、被災者向けに「希望新聞 特別版」の3号を発行する。岩手、宮城、福島、茨城、千葉などの大きな避難所を中心に、避難生活のハブとなっている「道の駅」や、医療・福祉機関などで無料配布を行う。全面カラーで8ページ。発行部数は10万部。
1995年の阪神大震災を受けて毎日新聞本紙内で掲載開始された「希望新聞」は、東日本大震災の発生後、3月22日に15年ぶりに復刊。特別版は、その情報を再編集したもので、5月6日に1号が発行され、今回が3号目となる。被災者にとって必要な生活情報のほか、希望を持てる明るいニュースを掲載している。
「弊社デジタルソリューションラボでは、被災地のためにデジタルで何かできないかと考えたが、突き詰めるとやっぱり紙ということになった」と話すのは、同ラボの山尾信一さん。「被災後すぐでは、ネットも電気も通じていない避難所が多かった。子どもやお年寄りにとってデジタルだと敷居が高い」とも。
最新号では1面と終面の二連版で、被災地と東京のそれぞれの小学生たちに「今、大事に思っていること」を紙に書いてもらい掲載している。「往復書簡というコンセプトがあり、インタラクティブなウェブ的発想も紙に落とし込んでいる。1号では、阪神大震災を経験した神戸の人から、東日本大震災の被災者に向けてメッセージを掲載した」と山尾さん。
「1号では文字のサイズが小さかったが、2号からは弊社発行の『小学生新聞』と同じ大きな文字にして読みやすくした。3号では、漫画でわかりやすくニュースを解説するコーナーを作った。実際に被災地へ出向いて配布や取材をすることで、被災者の声を取り入れ毎号改良している」と同ラボの奥野敦史さん。「紙代、印刷代に関しては、1号はネスレ日本、2号からはエーザイに協賛してもらっている」という。
同社ニュースサイト「毎日jp」でも同紙面をPDFで公開予定、公式ツイッターアカウント(@mainichi_kibou)も開設している。情報提供やメッセージは希望新聞取材班(Eメール kibou@mainichi.co.jp、FAX 03-3212-5177)まで。