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関東大震災復興のシンボル「九段下ビル」の解体進む-94年の歴史に幕

九段下ビル外観。1月20日現在はすでに解体作業のため、囲いがされてビルが見えなくなっている

九段下ビル外観。1月20日現在はすでに解体作業のため、囲いがされてビルが見えなくなっている

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 九段下ビル(千代田区神田神保町3、旧称=今川小路共同建築)の全棟解体が進んでいる。2010年9月から一部解体が始まっていた。

若手アーティストの作品展示が行われた九段下ビル内の一室

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 神田神保町3丁目にある同ビルは、関東大震災の後、被災した近隣商店街の店主たちが集まって建設した店舗や住居で利用できる複合ビル。南省吾が設計、1927(昭和2)年に竣工した。同震災の教訓を受けて、耐震性、耐火性を重視し、当時では珍しい鉄筋コンクリートを採用。復興事業の一環として建設され、関東大震災復興のシンボルとして親しまれてきた。

 1996年から同ビルに住み始めたという「最後の住人」の大西信之さんは、アメリカの摩天楼をテーマに絵を描いてきたアーティスト。「1920年代の古い日本の建物で、デザインがエンパイア・ステート・ビルやクライスラービルのように洗練されたものはここ以外にない」と話す。大西さんは、同ビルで昨年11月から12月にかけ、さまざまな若手アーティストの展示会をプロデュース。「九段下ビルがなくなった50年後にも、九段下ビルのこと、このビルでインスパイアされたことを自分たちの息子や孫に伝えてほしかった」とプロデュースのきっかけを話す。

 「九段下ビルは古くはなっているが、東日本大震災でもそれほど影響を受けなかった。今までもきちんとこまめに補修を続ければもっと長く使えたのに。もったいない」とも。

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